日本の四季は、春夏秋冬と言いますが、実際は「春」「夏」の間には「梅雨」があります。
この梅雨こそが、最も衣類へ影響が出ると言われ、その為「梅雨越しの為のたんす」とも言われます。
私達、製造する側にとって季節は四季ではなく、「春」「梅雨」「夏」「秋」「冬」と五季と認識をしています。
この梅雨の時期に大切な衣類を湿気から守り、厳しい夏を乗り切る事で衣類の保護が可能となります。湿度や気温の変化がある以上は桐たんすの必要性は求められます。
保存科学では、モノの保存には湿度が安定的に保たれることが必要であるとされ、湿度の大きい変化は着物など収納物に負担をかけ、
乾燥が酷いと絹がパサパサになって艶がなくなり風合いがかわってしまいます。
乾燥が酷いと、縫い糸がもろくなって着用しただけで糸が切れてしまったり縫い目が裂けてしまう場合もあります。
桐たんすは年間を通して、50%(±10%以内) で保たれます。またその変化は緩やかで着物や紙、湿気に敏感なものに対して優しい自然の機能性です。
桐たんすは、大切なお着物を保護する事が目的です。衣類の他にも湿度に敏感な大切なモノを収納することにもお勧めしております。
お客様の用途に応じてデザインをお選びください。
まず、基本的には長期収納か常用使用の二択の用途になるかと思います。
お客様は、どのようなご用途で桐たんすをご検討していらっしゃいますか?
①長期収納で考えられている場合は、「整理たんす」や「昇たんす」の引出モノをお薦めいたします。着る機会がほとんど無いお着物は引出に収納しましょう。引出モノは桐たんすの中でも特に調湿性に長け、季節を通して衣類を保護します。
②常用利用で考えられている場合は、「衣装たんす」や「和たんす」の開きモノをお薦めいたします。開きモノの桐たんすは、お盆や棚がありますのでお着物の取り出しが容易です。
引出に比べ開きの保護力は下がりますが、一般的な家具と比べると保護力はありますのでご安心ください。和たんすであれば、開きと引出が一体化していますので、長期収納と常用利用の両方を兼ね備えています。湿気の多い時期にお着物が必要な場合は、引出が硬くなって取り出せない場合があるので、予めお盆に移し替えておくことがポイントです。
③【番外編】調湿性も兼ね備えながら常用利用されたい場合は、引出の浅いたんすをお薦めいたします。
お客様の着物の種類によって厚みが異なるため、ご自身で予めしっかりと数量を把握してください。
①お着物を「たとう紙」に収納されたときの厚みをお調べください。薄手のもので15mm。 厚手のものは40mmなどお持ちの着物の種類によって様々です。
②ご希望のたんすの引出内寸を確認し、ご自身のお着物がどこに何枚入るか想定してみましょう。
③また今後想定される追加の枚数もご検討ください。 少し余計に引出が余る程度の方が、「場所が開いてて良かった」と安心出来ます。
桐たんすの性能に影響が出ないように、いっぱいに押し込んで収納する事はお勧めしません。
折りじわや、入れ替えた際に入らないなど問題が生じてしまいます。その為、引出の上限から-20mmを目安に収納してください。
当社の桐材は、北米桐材と中国材の二択が原則です。両方とも高品質の桐材を入手しております。
国内桐をご希望の場合は別途お見積もりさせていただきます。
材料の品質につきまして詳しくはこちらのページをご参照ください。 →こちら
桐たんすには種類があります。基本的な収納方法を参考にご検討ください。
・和たんす とは
基本は三ツ重ねで、上段に引戸、中段に開戸、下段に引出のデザインです。
この他、上段に大開戸、下段に引出のある二ツ重ねのデザインも和たんすとなります。
・上段引戸には、アクセサリーやバッグをなど収納します。
・中段開戸には、常時使用されるお着物を収納します。
・下段引出には、長期で保護したいお着物を収納します。
・昇たんす とは
基本は三ツ重ねで、上段に引戸、中段に引出、下段に引出のデザインです。
・上段引戸には、アクセサリーやバッグをなど収納します。
・中段引出には、長期収納ではあるけども、比較的利用することあるお着物を収納してください。
・下段引出には、長期で保護したいお着物を収納します。
・洋たんす [or服吊り]とは
大開戸タイプで、下段に引出がある物がオーソドックスなデザインです。
・ドレスやコート、スーツなどの収納が出来る服吊りのパイプがあります。
・下段引出には、長期で保護したいお着物を収納します。
・整理たんす とは
総引出のデザインです。
・衣装たんす とは
開戸でお盆がメインのデザインです。高さは1700~ローチェストタイプまで幅広く存在します。
引出が混在しているデザインもあり和たんす二ツ重ねに類似する場合があります。
・一間たんす とは
最もサイズの大きい桐たんすで、和たんすと昇たんすの要素があり畳一枚である一間分程の大きさです。
・浅引たんす とは
基本的に昇たんすと同じデザインですが、引出が浅いのが特徴です。
引出を浅くする事で、購入時のお着物一式(着物・帯・長襦袢等)を引出1段に収納出来ます。
当社の製品特徴は、何よりも『扱いやすい桐たんす』である事です。
桐たんすとは本来、大変シビアな作りであったため、表面に触れることが出来ず触ってしまうと手垢や油分がついてシミになり、また室内環境が悪いとカビが発生します。
そのため、当社ではその問題を解決させ、全国で初めて、桐たんすに現代塗装となる「表面特殊加工」の実用新案登録3079332号を取得しました。
表面特殊加工について詳しくは、こちらのページをご参照ください。→こちら
①表面特殊加工は、経年変化が大変少なく日頃のお掃除も気兼ねなくできます。
②焼桐加工は、伝統工法です。直火で表面を焼くことで、色づけの役割をもち硬度を高めます。また焼きの効果でカビが発生しづらくなります。
自然に生まれる色味と、引き立つ木目が魅力です。当初は濃いめのブラウンから徐々に明るいブラウンへ移行し、さらに木目も引き立つため経年変化をお楽しみいただけます。
③焼桐砥の粉仕上げ、伝統工法+現代工法です。焼桐加工を施し、トノコで木目を引き立てます。ややグレーな感じは素材の色で着色ではありません。仕上げに表面特殊加工を施しているため、経年変化が少ないですが焼桐を施しているため、やや変化が生じます。
表面特殊加工の色味については、こちらのページをご参照下さい。 →色味について
桐たんすは、再生できる事も魅力です。当社の製品は再生を行うことが可能ですので、再生が必要な時期が来ましたらご相談ください。
再生についてはこちらのページご覧下さい。→こちら
他社様も素晴らしい桐たんすを作られているところは沢山有ります。
それぞれに良い部分がありますので、お客様に必要な機能性をお選びいただくことが最良です。
他社様でお選びいただく際は以下の所に視点を置いてご検討されると良いと思います。
①引出の隙間をご確認ください。
引出部分の隙間が広ければ湿気の流入が多く内部湿度が上昇しやすくなります。隙間が広い場合は密閉保護力には欠けています。
当社の製品では、製造時紙名刺(0.3mm)が入らない程度がデフォルトの調整です。また湿気による膨張を考慮しているため、0.00mmでのジャスト調整は行いません。
②材料の厚みをご確認ください。
本体の板の厚みや引出の四方底面の厚みは重要で、薄すぎる場合は桐材が湿気の影響を受けやすく安定した精度を保ちにくくなります。
当社の製品では、側板・カキ板は18mmが最低板厚とさせていただいております。基本的に本体引出は20mm以上を採用し、底板は8mmと厚いモノを使用しています。
③材料の品質をご確認ください。
どこの桐材か尋ねましょう。 国内〇 北米〇 中国桐△ (グレード確認が必須 )
当社の製品は、北米桐と中国桐のAグレード以上のみを使用しています。
④総桐かを尋ねましょう
桐たんすとして、最大の性能を発揮するには総桐たんすが最高峰です。
注意点として、壁板や底板のラワンベニアに突板を貼って、見た目は「総桐」と言う製品もございますのでご注意ください。
桐を芯材に桐突板を使用するのは「総桐」と言えます。
⑤表面の仕上げはどうか尋ねましょう。
お店のスタッフに表面触れますか? と尋ねてみましょう。くれぐれもいきなり触ることのないようにご注意くださいね。
伝統仕上げの場合は、表面の塗装された面がシビアなため絶対に触ってはいけません。
一般的な桐たんすは、砥の粉を塗ってロウで仕上げますが、手垢が付いたり色剥がれ・黒ずみ等、早い物は数年で変色が始まります。
また、置いた環境により数年でぽつぽつとカビが生えてしまうものも有りますのでカビについても確認しましょう。
日頃のメンテナンスの方法も伺ってみてください。
⑥価格は一定の信頼
職人の手が入った、確かな製品はそれだけ精度があり、それゆえそれ相応の手間が掛かります。その為、価格が高くなってしまいます。
最終的な桐たんすの精度は、職人の経験で調整すること以外は成し得ないものです。安価なものは自動製作機等で量産しているため気密性に欠ける場合が多く見受けられます。
安いと言うメリットはありますが、それ相応の覚悟が必要です。長持ちさせる前提では無いため一定の買い換えが必要になります。
桐たんすをご検討ならば、まずは確かな知識を持った専門店や専門担当スタッフ様と一緒に検討しましょう。
もし、カビや手垢などの扱いづらさがある場合は、当社の表面特殊加工を施した当社の製品をお薦めいたします。