たんすの名称は産地によって違いがあり、当社での名称を記しています。その役割や、他産地の名称も比較して一緒にご紹介します。
天板
段ごとに天板があります、天板の反対側にあたる部位名は底板(地板)と言います。
帆立 (中帆立)
本体の中柱に位置します。天板のタワミを支える役割があります。
小引 (小抽斗)
小さい引出を指します。
面
引出を除いた本体前面を指します。面の種類は、平面、丸面、角面、内丸面など。
留
トメとは、側板や面の留め方を指します。留めによって木口面を隠すことが出来ます。留の種類は、45度で留める一般的な留め接ぎ、剣留め、馬乗りなど。
引戸 (引違い戸)
引戸は、横にスライドする戸を指します。引戸内部の事を、風呂戸や袋戸などと言います。
開戸 (扉)
開戸は手前に開く観音開きの扉です。
盆柱 (二重帆立)
お盆を乗せるための柱で、柱にはお盆を乗せる盆受け(スリザン)があります。
引出 (抽斗 ヒキダシ)
桐たんす業界では抽斗という漢字が使われていますが、当社では一般的な「引出」の漢字を使用しています。
本体(ガケ)
引出や扉を除いた部分。
側板 (帆立/外帆立ち/立側)
左右外側の板を指します。
棚板 (無目)
引出を支える為の棚の事です。
上段 (上置き/上台)
三つ重ねタイプの桐たんすの上部
中段 (中置き/中台)
三つ重ねタイプの桐たんすの中部
下段 (下置き/下台)
三つ重ねタイプの桐たんすの下部
足(前足)
たんす下段の地板の下部にある段違いの装飾。面のデザインを引き立てます。
壁板
壁面に接する板。丈夫な壁板は桐材3層のパール合板が割れない。一枚無垢板は割れやすい。
台輪
桐たんすの歪みを防止します。
前板
たんすの表面になる手前側の板。前板には木目の良いものが使用される。
向板 (先板/先側板)
前板の反対側(向こう側)にある板。
カキ板(側板/端板)
引出側面の板。
底板
底面の板。
上端(上面)
組み上げた引出の上面に位置する部位。
木口
木口とは、板を木目と直角に切った導管の見える断面を指します。
包み打ち付け組
部材を包みこむように組むことで、木口の露出が少なくスッキリとしたシンプルな組み方。木釘を接着材で留めるため、抜けることは少ない。
蟻組み
強度や耐久性が高い。万が一接着が緩んでも抜けることがない。昔は手加工だったが、近年は治具や機械加工が一般的。木釘が打てないため精度がとても重要となる。
小根追入れ組接ぎ
図面向かって手前が前板となり、この前にさらに鏡板を貼り付け二重の前板にする。
戸引手
直径30mm程度の戸専用の金具。指で掛ける部分には装飾を施した物がある。
前飾り
開戸専用の金具。飾りであることと、同時にたんす本体を爪でひっかく事のない役割もある。
ハンドル
前飾りの取手金具。
引出カン
引出の専用の金具。カンの奥側に位置する座金は下座という。
下がり
棒状になった開戸用の金具。
棒通し (棹通し)
昔は火事場や引っ越しなど搬出などの際に棒を通してたんすの移動を行っていました。現在は名残として残っていてその実用性はない。
鍵引明 (引明/錠前)
たんすの引出に付いている簡易的な鍵。
蝶番
扉の両端を開閉させる軸金具です。内蝶番にする事で外観を損ねません。
板目
板目は、木目が大きくうねり自然のワイルドさを感じる板です。切り出し方法は、丸太を単純に平行にカットすることで切り出すことができます。
柾目
柾目は、木目が真っ直ぐな板を指します。木目の細かさなどが評価されます。
切り出し方法は、丸太をミカンのように縦割りしたものを、さらにスライスし柾目が多く取れるようにカットします。
鏡貼り(鏡板)
単板や突板によって美しい木目を整えること鏡貼り(鏡板)と言います。一般的にはたんすの前面に対し、無垢板に5mm程度の単板や、0.5mm程度の突板を貼り付ける場合が多く、框枠や額縁にはめ込んだ板を鏡板という。希少な柾目を有効に活用できる。
パール合板
パール合板は全て桐で作られた合板です。数ミリの桐を中芯にして、桐の上下面に突板を貼り合わせることで割れない板になります。おもに壁板や引出底板に使用されます。
※ラワンベニヤを中芯にして桐の突板を使用したものはパール合板と言いません。
框造り (框戸)
木材を組み立てて枠組みを作リ上げる。框戸は上下左右4辺を加工した木材組み上げ中央部に板をはめ込んだ戸のこと。組み方を45°で留める(留接)、縦方向の造りは「縦框(たてがまち)」、横方向造りは「横框(よこがまち)」と呼ぶ。
木釘
クサビ形状の木材釘。金属製の釘のように木の間からサビが出たりせず打ち込んでからも鉋がけが可能なため、滑らかで上品な仕上がりになる。素材は空木(うつぎ)が 一般的でブナやビーチの材料もある。
五枚組接ぎ
たんす本体の外側の組に使われる。天板と側板を交互に凸凹になるように加工する。組み合わせたときの加工面が5カ所あることで五枚組という。3カ所であれば三枚組。
棹
サオとは、桐たんす業界ではたんすの数え方。たんす一台の事を「一棹」と言う。
杯
ハイとは、桐たんす業界では引出やお盆の数の数え方。
真鍮
真鍮は銅と亜鉛の合金で亜鉛が20%以上含まれているものを指します。身近な物では5円玉が真鍮製です。 桐たんすの金具に多く採用され、真鍮のやわらかな光沢や温もりのある風合いが魅力。腐食しにくく加工しやすい素材なので、昔から工芸品や仏具などにも使用されています。
メッキ
メッキ処理とは表面処理の一種で、金属やプラスチックなどの表面に薄い金属被膜をつくり、強度や耐久性を高める。真鍮素材にメッキ処理を施す場合もある。
鋳物金具
亜鉛を使用した和金具が一般的。真鍮に比べると衝撃に弱い。